出光美術館 門司港

2023_05_04

 

髪型は子供に用いる揚巻(あげまき)か? そういえばこの女性の年頃は若くて、15,16歳のように思える。いや、ひょっとしたら12歳くらいか。非常に高貴な顔立ちである。美しい。中国人の目鼻立ちの特徴とされる「釣り上がった目」を持つ完璧な中国人だ。手にもつのは蓮の葉か。この彫像では胴体から離れた腕の支えとして作為的に造られているが、まったく不自然さを感じさせない。

 

 

なで肩にケープを羽織っている。胸の膨らみがないからやはり年齢は12歳くらいとみるのが順当だろう。このケープから三彩が始まっている。流れるような色彩がスムーズで絶品だ。

 

三彩女子

中国・唐時代

 高45.0cm

 

 きっと唐の時代、洛陽近辺の貴族のひとりが亡くなったのだろう。彼が彼の生前、彼の愛する孫娘をそっくりそのまま高さ45cmの塑像に作らせ、死後の供にしたものであろう。

 

 今回の門司港出光美術館展覧品のなかで「最高傑作」とされるべき作品だ。

 

 

 

 そのほかの作品も、この後に写真でお見せするが、腰が抜けるほど美しい作品ばかりだ。さすがに出光佐三さんだ。感心しました。

 

緑釉騎駝人物

中国・隋時代

32.1cm

 

 座る駱駝です。瘤の間に一人の胡人が載っています。どうして胡人と分かるかというと、砂漠で駱駝に乗ってきた人間はシルクロードを交易する胡人にきまっているからです。それにこの駱駝は、毛皮で作ったマントを着ていますね。珍しい。隋の時代ですから、唐三彩はまだ始まっていないのです。

 

 

 現代でも駱駝を見るには中国の西の端、敦煌に行く必要があります。砂漠は敦煌で突然に現れ、駱駝も敦煌で突然に現れるのです。

 

撮影:2006/06/16 敦煌にて 観光客用の駱駝。dunhuang (lcv.ne.jp)

 

 話が脱線しますが、この敦煌は2018年、中国新幹線と繋がった。

 

20日午後220分、甘粛省北西部にある敦煌駅から高速列車D4083/2が約1000キロ離れた同省の省都・蘭州に向かって出発した。これは、藍新高速鉄道(蘭州-新疆維吾爾自治区烏魯木斉)と敦煌鉄道が連結したことを意味し、かつてシルクロードの分岐点として栄えたオアシス都市・敦煌は中国全土の高速鉄道網とも繋がったことになる。中国新聞網が報じた。(中国全土と高速鉄道網でつながった甘粛省敦煌市--人民網日本語版--人民日報 (people.com.cn)

 

 

 でも新幹線でも時間がかかり過ぎるから、西安から飛行機で行く方が無難かも。

 

『唐三彩』―シルクロードの至宝

P18

 出光美術館 2019/06/22

三彩馭者

中国・唐時代

62.5cm

 

 これも駱駝の馭者です。詳しくは次を参照のこと。

 

三彩貼花文壺(万年壺)

中国・唐時代

20.2cm

 

 三彩貼花文壺は静嘉堂文庫美術館(現在は明治生命ビル内)にも素晴らしいものがあるようだが、静嘉堂美術館は観覧予約が必要だから地方在住者には観覧が難しい。それに加えて、静嘉堂文庫美術館の唐三彩展覧会は2009年(平成21年)の「唐三彩と古代のやきもの」展だけで、それ以来開かれていない。

 

 

 唐三彩愛好者は唐三彩のコレクションを全部纏めて見たいのが夢なのですから、静嘉堂の常設展のように唐三彩の作品を数点見せるだけでは欲望が満たされず、フラストレーションが溜まります。今回の出光美術館門司港のように秀作をまとめてどっさり見れる機会は滅多にないチャンスだと考えた方が良いでしょう。この機会に門司港まで来られて、この展覧会を見ておかれることをお勧めします。

 

三彩共蓋壺(万年壺)

中国・唐時代

25.2cm

ガラス製香油瓶・アンフォリスコス形

東地中海地域・紀元前2世紀中期-1世紀後期

15.2cm

 

 東地中海というので、例えばギリシャという国で作られたガラスの器なのでしょうが、今ならばヴェニスでしょうね。ムラノ島で昨日造ったといってもおかしくない現代性がありますね。

 

藍釉男子立像一対

中国・唐時代

46.543.8cm

 

 中国製で藍色の釉薬です。珍しい。

 

 

 

 昔使われた笛なんですって。猿笛。面白いじゃありませんか!

 

 

 

 これらの唐三彩は一体どこで製作されたのか? 解答は『唐三彩 シルクロードの至宝』のP140の地図(下)に記載されている。

 

 

 発掘のきっかけとなったのは、1905年光緒31年、鉄道建設工事の際、洛陽北方で偶然発掘された墳墓(邙山陵墓群)の中から大量の唐三彩が出て来たものらしい。詳しくは次を参照のこと。

 

画像:『唐三彩』出光美術館、2019 P144/145

 

洛陽古墓博物館 2004/10/11撮影

 

私はその当時(2004年)、鄭州で仕事をして、その帰りに洛陽に立ち寄り、タクシーを借り切って、洛陽を観光したのですが、その際この博物館に立ち寄りました。なにしろ宝物は持ち出された後ですから、廃墟という感じでしたが、下の写真に見るとおり、唐三彩の片割れを見ることができました。

 

撮影:2004/10/11

場所は洛陽市北部の邙山陵墓群に在る洛陽墓博物館

 もうすっかり細かいことは忘れてしまいましたが、古墓博物館のなかで撮った写真の一枚です。明らかに唐三彩ですよね。それともコピーかな?

 

 洛陽古墓博物館の場所は次。

 

画像:GoogleMap,2023

 

 話は再び脱線しますが、この写真を撮った20年前は、中国もアナログで、お金さえあればどこでも行けたのですが、現在はデジタル時代で、お金があっても、身分証(not passport)がないと身動きがとれなくなるそうです。おのだ君の北京大興国際空港報告が教えてくれます。北京の新空港「北京大興国際空港」を利用!2019年9月にオープン - YouTube

 

 

 最後にもう一点、鍍金獣環耳尊というのがありました。別に三彩ではないのですが、美しいですね。「尊」(Zun)というのは殷周の時代からワイン用の器なのですが、この器から蓋を取って、ワインを注ぎ、口をつけてワインを飲む気にはなりません。そうでなくて、典雅な芸術品として眺めて楽しむことにしましょう。

 

 

 では皆さま、ご機嫌よう。